教えて筑田先生 (はり)治療 No.5
どうして鍼治療は効くのかしら?
 ツボの部位による反応の違いは
 鍼刺激の性質や強さによって、交感神経系と副交感神経系の自律神経系のバランスが変化すること、そして内臓神経反射が臓器機能調整に直接関与することの二つの理由が考えられます。その詳しいメカニズムについては今後の重要な研究課題です。

そのほかの鍼の作用として
 種々のホルモンや免疫機能調節作用があり、それらの総合的な作用として身体全体が良好な平衡状態に改善されるように思います。最近では西洋医学的治療法でも、私たちの身体の反応がより詳細に解明され、治療法もいわゆるエビデンスといわれる大規模な比較試験の結果だけではなく、かえって東洋医学的治療のように、それぞれの人による違いを重視し、個々の反応性に合わせた治療法で、身体全体の調和を重要視するように変化してきています。

白血球除去療法
 最近白血球除去療法という治療が出てきました。この治療法は、リウマチやSLEなど今まで治療が難しかった自己免疫性疾患に大変有効だろうと期待されています。 長年血液内科で仕事をしていた私には、この治療法は、鍼治療の作用機序を考える上で大変興味深いと思っています。この治療で除去される白血球の絶対数は少量です。それなのに効果があるというのは新しい白血球の誘導または免疫担当細胞の再編成によるのではないかと推測されています。
 鍼治療にも免疫賦活作用があり、免疫担当細胞の再編成も考えられることから、私には白血球除去治療と鍼治療に何らかの共通機序があるように思えます。
 

今後の展望
 モルヒネは痛みを取る治療の中で、最強のものです。マラソンやジョギングなどの運動をすると、快楽物質とも言われるエンドルフィンという成分が脳から出てくるという話しを知っていますか?このエンドルフィンは内在性モルヒネのひとつです。
 鍼刺激をすると、このエンドルフィンが増加します。エンドルフィンは、がんなどの痛みを抑えるのに効くのと同じように、身体のいたみも抑えてくれます。その他、副腎皮質ホルモンのコーチゾールの分泌が、鍼刺激で高まります。コーチゾールは炎症を抑えることで、痛みを軽くしています。