教えて筑田先生  肩こりと腰痛
女性の肩こり、腰痛が更年期で起こるの?
 肩こり、腰痛はたいていの人が一度は経験しているありふれた症状です。肩こりは特に女性に多い。僕も腰痛は時々経験しますが、肩こりはない。

原因は何?
 肩こりや腰痛の原因は一つではありません。 

 内的な要因としてあげられるのは、体形、年齢、体質などです。体形では、脊椎の生理的彎曲(背骨って健康な状態で曲がっているんですよ)が少ない人、言い換えるとまっすぐな背骨の人、またはゆがみのある人が起こりやすい。年齢では、中年以降の方に多い。体質的には、ホルモンのバランスに問題があるとか、自律神経系のトラブルを抱えているとか、筋力が低下しているなどです。

 外的な要因または環境因子としては、気候の変化や人間関係などの精神的ストレス、仕事など日常生活における姿勢、加重(重い物を持つとか、自分自身の体重など)などがあり、それぞれが複雑に絡み合って症状を作ります。
 
 女性の更年期には肩こり、腰痛を多くの人が認めます。なぜ起こるかというと、この時期には女性ホルモンが低下し、骨粗鬆のために骨はもろくなります。運動不足で筋力も低下します。さらに、人間関係でのストレス、家族の介護が加わり、子供たちが巣立ち、自身の将来への不安で鬱状態となりがちです。 この様な状況では自律神経が不安定となり、血行障害がおこります。ホットフラッシュや頭痛は更年期の典型的な症状ですね。実は、肩こりも血液循環が障害されて引き起こされるので、更年期のひとつの症状なのです。

さて治療法はどのように行えばよいのでしょうか
  ひとつの側面からのアプローチでは不十分です。原因が種々あるわけですから、そのひとつひとつに丁寧に対応してゆく統合的治療が必要です。 

 不安が多く自律神経の不安定な方、血の滞りの目立つ方は漢方薬のみで見違えるように症状が改善することがあります。 ホルモン補充療法は米国での大規模試験によってその効果は疑問視されてもおり、副作用を考えると第一選択とはいえません。
 消炎鎮痛剤(痛み止め)は更年期での肩こりなどには効きにくい。しかも、胃潰瘍や胃炎など消化器系の副作用の頻度が20パーセント程度と高い。そのため私は最初に患者さんに処方することは、めったにありません。
 副作用を起さないという点で、鍼治療を積極的に取り入れております。 鍼治療は薬物治療と異なり、自分の持っている自然治癒力を刺激する治療法です。

 欧州、米国では整形外科でも積極的に鍼治療を取り入れています。WHOでも鍼の効果は認めています。病院のなかでシステムとして鍼の治療を取り入れ、他の治療方法とあわせてよい成績を上げています。人をひとつの側面からのみ捉えるのではなくて、全体として捉える統合医療というアプローチは、残念ながら日本よりはるかに進んでいます。
 複雑な要因で起こる肩こり、腰痛には統合医療として西洋医学的治療法とともに、漢方治療、針治療を積極的に導入し、治療効果をさらに向上させることが出来ます。
 
 治療効果が確かであることをを見ていると、日本の医学教育に早く鍼治療の教育を取り入れる必要を感じます。私もまた、馬教授の治療を見る機会がなければ、このように感じることはきっとなかったと思います。

安全性については?
 また、鍼治療への不安のひとつが、使いまわしの鍼による感染症(例えば肝炎やエイズなど)だと聞いています。これは、日本の病院における鍼治療では、滅菌済みの鍼を使い捨てで使用していますので、心配する必要はありません。
  

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