アンチエイジングの実際 No.3

アンチエイジングの実際 No.3 トレチノイン療法  トレチノインという薬はビタミンA酸、レチノイン酸とも呼ばれるビタミンAの誘導体です。元々は、アクネ(ニキビ)の薬です。 http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/druginfo/medmaster/a682437.html  ニキビの治療については、ウェブサイトにも書きました。 http://www.mika-clinic.com/kamoku/hihu05.htmlトレチノインを使う目的は、面疱(コメド=毛穴に詰まる皮脂と角化物の塊)を追い出すことにあります。ニキビ治療では、塗っている場所が赤くなるかならないかくらいの、マイルドな使用量で充分です。  トレチノインは、患者さんによって反応の仕方に差があります。感受性の違いといってもよいかもしれません。少量でもすぐに赤くなるひと、かなりの量をぬっても余り効かないひとーーー。そのため、一律にこういう状態ならば、この量を塗るようにとは決められません。言いかえれば、医師の腕の見せ所。 ご自分で個人輸入などで入手され、適当にお使いになって、トラブルを起こしてしまって困っておられる方もおいでです。  また、約8週間くらいで薬が効かなくなってきます。耐性ができたと言います。東大の吉村先生はレセプターのスイッチがオフになるんだよとおっしゃっています。このあたりのメカニズムが分かりにくいのですが、確かに臨床的には8週を過ぎると効きが悪い。  USAで皮膚科医の奥様方がニキビ治療でトレチノインを塗っていたら、小皺が減ってきたということから、トレチノインの若返りの治療が始まったそうです。  トレチノインは、細胞のターンオーバーを促す薬です。  お腹にいる赤ちゃんにトレチノインが届いてしまうと(塗り薬では一応届かないとされていますが、飲み薬は大変危険です)、奇形を起こしやすくなる。厚生労働省は未認可ですので、保険の適応はありません。なので、妊娠の可能性がある女性には使いにくい。  でもこの細胞のターンオーバーを促し、毛穴を締め、表皮内のメラニンを追い出すことで漂白するという作用は、アンチエイジングのコンセプトそのものです。  私は、ニキビと毛穴、小皺目的にはマイルドに、漂白目的には強力にトレチノインを使っています。  トレチノインもたくさん書くことがありますので、続きをお楽しみに なすびNs. 「センセはトレチノイン好きだよね?」 美夏Dr.「だって効果確実、安い。これが嫌いな人はいないでしょう?」 なすびNs.「質問の方向を変えてみましょう。トレチノインで乾燥するっていうでしょ?これはどうなの?」 美夏Dr. 「トレチノインは皮膚の細胞が細胞分裂する基底層を刺激し、そのターンオーバーを促進するとされている。新しい細胞がどんどんできるの。そうすれば、当然垢となって落ちる細胞も増えるし、毛穴に詰まっているものも押し出される。  垢となって落ちるということは、言いかえれば剥けるわけだから、結果としてのピーリング剤>。薬が作用する場所が、基底層ってことよね。  当然のことながら、新陳代謝が活発になって、垢となって脱落する細胞が増えればそれに伴って水分も蒸発する。乾燥しやすくなる。  だから、アトピー性皮膚炎の人など乾燥しやすい人には、トレチノインが使いにくい。  ケミカルピーリングでは、皮膚表面に塗って直接角層を剥いて、結果として細胞分裂を促す。つまり反応としては逆方向なんだけれど、結局やっていることは同じ。ただ、ケミカルピーリングでは、毛穴の奥までは薬は届かないから、コメドを押し出すには弱いわけ。ケミカルピーリングも乾きやすくなるでしょ?」 なすびNs. 「感受性が違うって?」 美夏Dr.  「反応がね、人によってずいぶん違う。トレチノインの量が一番多いプログラムが、オバジのnu-dermだと思うんだけれど、これでさえあまり赤くならない人っているの。一見肌理が細かくて乾燥に傾きがちで敏感そうな肌でも、あまり赤くならない人もいれば、反対に丈夫そうだなっておもっても、真っ赤になる人もいる。一応使っていただいて、判断するようにしているけれど。」 なすびNs. 「赤くなったら辛いよね。ワタクシはオバジのnu-dermは、いくらお勧めされてもやる気がしない。美貌に自信がもてずに外を歩く期間が長いのは、そりゃあいくら結果がよくても、ワタクシ向けではありません。」 美夏Dr. 「ただね、個人の感受性の違いも大きいけれど、実は塗り方塗る量が患者さんによって、かなり個人差があるように感じている。このくらいで使ってねとは、説明しているけれど。」 なすびNs. 「赤くなるほど効くとも言っているじゃあない?」 美夏Dr. 「赤くなったら、ハイドロキノンでメラノサイトの活動を抑えておいたほうがいい。特に肝斑のあるかたは、トレチノイン塗って赤くなって、それで紫外線にあたったら、一度に黒くなる。あっという間に黒くなるからね。ただ、ニキビ目的で使うなら、赤くなる手前で充分に効いてくるから、その量を調整するのよ。  あとね、どうしてもトレチノインはターンオーバーを促すから、場合によって炎症反応が強くなる。乾燥した上に炎症が起こると場合によって痒くなる。痒みで引っかいちゃうと今度は傷になる。痒くて掻いてしまうようになったら、トレチノインを塗るのを中止しなくてはならないの。これは、ニキビ治療でもしみ治療でもとても重要なこと。」  posted at 2006/08/16 17:05 | kojitomika | permalink/全文表示 |

関連記事

  1. ニキビダニ

  2. そばかすタイプのしみに効果的な複合治療

  3. 開放面疱 ブラックコメド

  4. 薬が得か美容皮膚科的治療が得か

  5. コメドはどうしたらなくなるのか

  6. ディフェリンゲルーー赤くなる 乾く

最近の記事 おすすめ記事
  1. 春なのに

    2020.03.30

  2. 梅雨開け

    2019.07.25

カテゴリー

年月を選択

タグクラウド

Aoyama flower market M22 フォトフェイシャル ルミナス Smas-up 高周波と低周波 RF EMS  STCチップ サーマクールキャンペーン しみ治療の良い時期 ひだこ リベド 低温熱傷 アラガン ルミガン グラッシュビスタ イワシの生姜煮 クナイプのバスソルト サンバ 女神 シャンソン 島本弘子 シーレ スキンケア キャンペーン  レーザーフェイシャル M22 トーニング ステロイド 密閉療法 スレッド チャリティ ディファリン デッサン ニキビダニ パースピレックス ヒアルロン酸 注入 ビタミンCのイオン導入 紫外線をどう避けるか ピアス 在庫 ピュラジェン ボトックス ヒアルロン酸注入 ムーバブルタイプ リゴレット レンドヴァイ ロマの音楽  レーザーシャワー リフトアップレーザー ロングパルスヤグレーザー ジェネシス ワキ汗 わきあせ 腋下多汗症 久保山真衣 口の周り、しわ、若返り 咳エチケット  成蹊大学 混声合唱団 打撲 漢方 治打撲一方 毛虫皮膚炎 毒蛾皮膚炎 法令線 年齢による変化 皮脂欠乏性湿疹 脱毛 ジェントレース ジェントレーズ マックスプロ 脱毛、ジェントレース、ヤグ、アレクサンドライト 花粉皮膚炎 講演会のおしらせ 赤い 乾く 乾燥 運河 ネクシードタレント 陥入爪 爪の切り方
PAGE TOP